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公開講座『演劇表現による人間力の磨き方』(報告)

2016年12月10日(土)15:00から
公共政策研究所(公共経営研究部会)の主催、一般社団法人 途中塾の共催で、
第6回目の公開講座を開催しました。

 

当公共政策研究所が7月の参議院選挙あとに18歳から29歳の600名を対象に若者の学びニーズ調査を行ったところ、一般の学校教育では「知る」「考える」「伝える」のうち「知る」に重きが置かれており、「考える」「伝える」をもっと充実するべきというニーズが浮かび上がっています。
大多数の日本人が不得手な傾向にある「伝える」ための表現力を「人間力」とともに指導いただく講座を企画したものです。

 

講 師:山口泰央(劇団ひまわり)日向薫(宝塚歌劇団出身女優)
会 場:早稲田大学 3号館502 (参加者は約70名)

 

≪主な内容≫

 

1.「自分の見せ方、見られ方」「なりたい自分演出」(日向薫)

 

 

① 面接やオーディションを受ける時に必要なこと
相手の意図を理解した上で、自分がどうありたいかを表現すること。
例えば、宝塚の受験は10人位の受験者が同時に面接会場に入り審査。
審査はせいぜい10分程度。その短時間でどういう印象を与える事ができるかが勝負。
そのためにはまず自分を知る事がたいせつ。

 

② 体の姿勢も重要として、座り方を知る演習
座面に垂直に座る事でぴしっとした姿勢になる。

 

③ 自分の意思で動く体を作る演習
手早く出来るストレッチ等で日頃から躰を成らす。

 

④ 口跡良く喋るトレーニング
丹田にちょっと力を入れてゆっくり母音だけで発音してみる
例えば、“うみのしんぺい”という名前を“ういおいんえい”と発音。
顎関節をよく動かす事が重要。

 

⑤ 学生証や履歴書に載せる写真について
一番ステキに活き活きと映っている写真を使うべき。写真による印象は重要。
目線をカメラで止めず、レンズの向こうにいる人を見るつもりで撮影するとよい。

 

2.劇団員による実演

 

一般社団法人全国銀行協会が主催する特殊金融詐欺防止のためのキャンペーンに、劇団ひまわりが詐欺の手口を再現して注意喚起する寸劇を全国各地で上演したり、銀行のロビーで放映しているDVD番組の製作に協力するなど、啓発活動を行っている。
山口氏が脚本と演出を担当しており、その一部を鑑賞し、演劇の持つ社会へのメッセージ力について考えた。

 

 

3.「演劇表現による人間力の研き方」(山口泰央)

 

 

(1)演劇のもつ役割
演劇は以下のような役割を担っている。
①社会性 作品を通じてメッセージを伝える事ができる
②市場性 商業としての意味合いも持つ
③芸術性 舞台芸術やオペラなどに代表されるもので人の心を動かす

 

(2)人間力を磨くとは
芸術性に着目してみると、芸術とは心を動かす事であり、感動を生み出す力とは即ち人間力そのものである。人間力を磨くためには「対話」が重要。
対話は単なる会話とは異なり、それぞれの違う考えを持ち寄って話し合う事。そこには聴く力が必要になる。
俳優には特に対話をする能力が重要。アンテナが高く広がる俳優は感動を生む力が強い。劇団ひまわりのコンセプトは、“俳優であるために人間であれ”である。

 

(3)無意識の意識化
人間であるためには、当たり前の事を当たり前にやるために、ルーティンを続けることだが、これがなかなか難しい。
俳優にとって当たり前の事とは、例えば、歩く、話す、呼吸をする事で、この時にしっかり意識をもって演じるのが重要。これを「無意識の意識化」と呼んでいる。
シチズンシップにおいて主体的に行動していくためにも、対話、コミュニケーションが重要になる。
言葉を介するコミュニケーションもあれば、目や顔の表情だけによる言葉を介さないコミュニケーションもある。

 

4.ゲーム感覚での実技ワークショップ

 

俳優は演じる時、基本的には主観で演じるが、優れた役者は同時に自分を客観視する力を持っている。 自分自身を客観的に見てみるために、ゲーム感覚で行動を試してみる演習により、演じる側と観る側を実感してみる。

 

≪歩くゲーム≫
演習に参加してみたい数名を募り、以下2パターンの行動をとってもらった。
① パターンA 自由に歩く
② パターンB ある目的をもって歩く(例えば、部屋にある丸い物に触るとか、一番大きい4角に触るなど)
AもBも両方歩くという行動であるが、Aは暗くぎこちない印象。ただ歩けと言われると、目的がなくベクトルが自分向き。当たり前の事を当たり前に表現できず、表現としては嘘っぽい感じになる。
Bは目的がはっきりしているため、自然と活き活きとした印象になる。

 

≪命令ゲーム≫
新たな希望者を募って、聴く、考える、伝えるをテーマとした実技を行った。

命令ゲームのルール:
「命令します」と最初に言った場合はその命令に従う。「命令します」と最初に言わない場合は動かない。実際にやってみると、「命令します」と付けずに言われた命令の通りに行動してしまう人が何人か出現。(熱中と冷静を同時進行させなければならない)

 

≪ピクチャーゲーム≫

 

 

ルール:漢字一文字をジェスチャーで表現し、出席者に当ててもらう
お題として一文字が演技者だけに伝えられ、それを表わす演技者のジェスチャー(静止)を見て、出席者が推理する。
今回、演技者に与えられたお題は「春」。形のないものだけに、非常に表現が難しい。
自分では伝えたつもりでも相手には届いていなかった経験は誰にでもある。
相手の事をよく考えないと伝わらない。ここでも、人間力が試される。

 

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≪まとめとして≫

 

大学の教室を使っての講座としては異色のものとなった。自己表現のプロが講師になるからこそ、理論を超えた面白さが眼の前に展開され、表現力とは何か、人間力とは何かを考えながら教室を後にした受講者が多かったのでは・・と予想する。

対話とコミュニケ―ションをワークショップ型で学んでもらおうと考え、ツーウェイで各自が実技しながらを理想としたのだが、教室が演台に向かう座席スタイルであり、予想以上に参加者が多かったなどから、いつもの受け身で聞いている人が殆どだったことは残念であった。次回からは、劇団の協力を得て、全員参加のワークショップへと改良できれば有難い。

なお、看板を見て、会場にやってきた当日参加者が17名。今までにない盛況であったことに劇団や、大学の関係者に感謝申し上げたい。

(招聘研究員 羽田智惠子)

 

 


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