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公開講座『セルフ・イノベーションが創る日本の未来』(報告)

9 月 24 日(土)17時から、公共政策研究所(公共経営研究部会)の主催、
一般社団法人 途中塾の共催による公開講座3回目を早稲田大学3号館405号室で開催しました。

 

講師は、株式会社リアルディア 代表取締役社長で、元アップル米国本社副社長 兼 日本法人代表取締役の前刀禎明(さきとうよしあき)さん。
ソニー、ベイン・アンド・カンパニー、ウォルト・ディズニー、AOLなどを経て、2004年、アップル米国本社マーケティング担当バイス・プレジデント(副社長) 兼 日本法人 代表取締役に就任。
日本独自のマーケティング手法で、 iPod miniを大ヒットに導き、スティ―ブ・ジョブスに託された日本市場でアップルを復活させ「iPodの仕掛人」と呼ばれた実力派です。
幾多の国際的な舞台を踏んできた体験から近未来を生きる若者へのメッセージをいただきました。

 

講師:前刀禎明(株式会社リアルディア 代表取締役社長)
司会:若林貴士(野村総合研究所 早稲田大学基幹理工学部卒・同大学院修了 途中塾)

 

≪公開講座の主な内容≫

 

 

1.自分を革新して未来を創造する

 

ソニー、ディズニー、アップルの創業者たちに共通している点は、彼ら自身が進化をとげている「セルフ・イノベーション」。物事の答えは1つではない。今日話すことは答えでなく、あくまで考えるきっかけ。未来を創るのは1人ひとりのセルフ・イノベーション。今日の話を柔らかい頭で聴き、新たな価値観を持って色々なことに取り組んで欲しい。

 

2.セルフ・イノベーションとチャレンジ

 

(1)未来は自分次第
“未来を考える”ということがポリシー。自分の身に今起きていることは、 “全て自分の責任”と考えている。過去の自分の結果が今の自分。だからこそ、未来も自分次第。考えているだけで現状に甘んじてしまうか、自分の可能性を信じて挑戦するかで未来は大きく変わる。

 

(2)成功とは何か
世の中で成功者と言われている人にインタビューをした所、「富と名声を得ることが成功とは思わない。自分の充実感に満ちた人生を懸命に送ることが大切。独創的な仕事をして、永続的な影響力を生み出す(人の役に立っている)ことが人生の充実感、成功である」という考え方だった。

 

(3)求められる人材
今、世界の企業が求めている人材は、自律型社員(課題を見つけ出し、主体的に取り組む社員)や、肉食社員(困難に打ち勝つ逞しさを持つ社員)。しかし日本の企業は、型破りな社員を檻に閉じ込めたがる傾向にある。野生までは行かなくても、サファリパークぐらいの自由度をあげると、伸びやかに成長する。

 

(4)スウィートスポット
「自分しかできなくて、確実に求められていること」が“スウィートスポット”。スウィートスポットを持つためには、常々、自分が何をしたいのか、世の中に何を伝えたいのかを考え、自分がどのようにユニークなのか、つまり自分だけの強みを認識し、多様な価値観、多様性を知ることが大切。

 

(5)多重知性
“自分らしさ”とは人それぞれ違った才能=多重知性(Multiple Intelligences)。言語に長けている、音楽や絵が得意、身体能力が高いなども知性と考える。学校の成績だけではない知性。人それぞれ自分の才能、強みを持っていて、それを生かすことを考えて欲しい。

 

(6)セルフ・イノベーションで大切な3つのこと
①感じること(感性) ②創ること(創造力) ③動かすこと(共感力)

 

(7)クリエイティブになる3つのポイント
①“もんだ”をやめる、②子供になる、③自分を信じる。
人生は何が起きるか分からないから楽しい。経験を楽しもう。

 

3.動かすこと(MOVE)

 

(1)世界を変えた男たち
①スティーブ・ジョブズはスタンフォード大学の卒業式で「時間は限られている。他人の人生を生きている場合ではない。自分のやりたいことは自分が分かっている。自分の心と直感に従え。」という言葉を送った。
②ウォールト・ディズニーは取材で「ディズニーがこんなにうまくいっている秘訣は?」と聞かれ、「秘密なんかない。我々はただ前進し続けているだけ。扉を開けて、新しいことに挑戦している。なぜなら好奇心旺盛だから。」と答えた。
③ソニーの創業者の1人、井深大は「1番のモットーは他の人が既にやってしまったことはやらないこと」と言った。

 

(2)市場を創造するために市場を教育
「他社ノ追随ヲ絶対ニ許サザル境地ニ独自ナル製品化ヲ行フ」というーソニー設立時の強烈なメッセージに惹かれてソニーに入社した。“心の琴線に触れるものづくり”とは技術ではなく、その製品を持つことでその人が感動すること。日本初の小型トランジスタラジオやウォークマンを世に送り出した井深大は「マーケットをこしらえることが大切」と言っていた。市場を創造するために市場を教育する。(カスタマーエデュケーション)。世の中になかった新しい物を創った時は、その価値をわかってもらう教育が必要。

 

4.創ること(CREATE)

 

 

(1)期待を超えるものを創造する会社 ― ウォールト・ディズニー
ビジネスで大切なのは「顧客満足度」と言われるが、今は「期待超越度」が大切だ。ディズニーにいた頃、ウォルト・ディズニー・ワールド25周年イベントがあった。シンデレラ城をバースデーケーキにしたり、セレモニーでジェット機が頭上に飛び出してきたり、鳥肌が立つような期待を超える演出だった。

 

(2)集団の創造性を発揮する会社 ― ピクサー
集団の創造性(Collective Creativity)を発揮するためのシンプルなルール。

 

①会社の中で、誰もが誰とでも自由にコミュニケーションできる。
②誰でも気兼ねなくアイディアを提供できる。自分の担当外の作品でもアイディアが浮かんだら発言していい。
③イノベーションの最新情報を常に把握する。技術トレンドを見て、どんな映像表現が可能になるかを考えながら、作品を制作する。

 

5.感じること(Feel)

 

(1)感性を磨く
創造力を養い、動かす共感力を高めるために重要なのは、感じること。感性。
日本はトレンド好き。例えば「NY発」が大好き。本当に流行っていなくてもTVで紹介されると流行っていると思い込む。本質を見ないで流行っている方に流される傾向が日本人にある。周りを見てiPhone利用者が多くても、Androidの方が、出荷台数が多いと聞けば、アプリ開発などでAndroidを優先する日本企業は多い。

 

(2)インサイト(洞察力)を鍛えること
・マスカット1粒のアップ写真を見せると、大きな何かだと思い、青りんごと答える。
・電柱は下から見上げると三角に見える。・雲は見方によってトイプードルにも鳥にも見える。
ビジネスの世界でも壁にぶつかった時、考える角度を変えると別の見方になり、解決策が見えることもある。固定観念にとらわれない。雲を見てイマジネーションを鍛える方法はお勧め。

 

(3)Sense of Wonder
自分の興味や自分の専門領域だけでなく、色々なことに興味を持ち、Sense of Wonder、好奇心を膨らませること(発散思考)。それを時々頭の中で結びつけていく(収束思考)。また発散させ、収束させる・・・これを繰り返すと頭が柔らかくなる。

 

(4)五感で味わう
アップル社退職後、フランスで味覚・感性教育法を勉強した。そこの教えで、「何事も自分が体験し、自分が感じ、自分の言葉で表現することが大事だ」ということがあった。五感で味わって記憶にとどめて行く。この繰り返しが自分の感性を育てる。

 

(5)Right Answerから離れる
何かを感じるときに邪魔するものが「Right Answer」。日本人はとにかく正解が好き。美術館に行っても絵を観るより解説を読む時間を割く。日本人は正解を知りたがるが、それは重要ではなく、自分がどう思うか、どう感じるかを優先させることが大切。自分には無限の可能性があることを信じて欲しい。

 

6. 今の自分に満足せず、追及する

 

「私は自分の仕事に満足したことがない」by ウォールト・ディズニー
「自分のイマジネーションの限界に憤る」by ウォールト・ディズニー
「君にとっての最高作はどれ?」「NEXT ONE(次回作)」by チャーリー・チャップリン
次はもっといい作品を作るという情熱。今の自分に満足しない。妥協しないで追及するということ。

 

(1)REALDEARのクリエイティブ・プレゼンテーション。
REALDEARではセルフ・イノベーションの基礎力を高めることに取り組んでいる。その1つにクリエイティブ・プレゼンテーションがある。ロジカル(論理的)・エモーショナル(感情的)とビジブル(スライド等で視覚化されたもの)・インビジブル(目に見えないもの)という2軸でつくられるマトリックの4象限で考えると、ロジカル&ビジブルが従来のプレゼンテーション、エモーショナル&インビジブルで感性訴求により想像力を膨らませるものがクリエイティブ・プレゼンテーション。ひたすら文字だらけのスライドを映し出し、読むだけのプレゼンは最低。理解だけでは人は動かない。理解してもらうだけでは不十分。頭で理解しても腑に落ちないこともある。理解の後、共感し、自分でやったらこうなると想像し、自分でやってみようという気持ちが生まれ、ここで初めて人が自発的に動く。理解は当たり前で、共感、想像、自発ということを考えて欲しい。

 

(2)Free Yourself。
自分自身を解放して欲しい。自分らしくあれ。人ではなく、自分の心が喜ぶ生き方を。明日の自分には無限の可能性があるということを信じて欲しい。セルフ・イノベーション、チャレンジを続けること。自分を変えることで、それぞれの未来を創って欲しい。

 

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≪質疑応答を通じて≫

 

活発な質疑応答がなされましたが、前刀さんの国際舞台で培われた広い視野と、深い思考、並外れた行動力によるであろう、日本人離れした発想と鋭い助言をいただきました。
以下、日本人がグローバル人材になるためのヒントとして、代表的ないくつかです。

 

① 『アメリカ人が求める人材として、枠にはまらず、既成概念を外して物事を考えられる人』」
② 『多少英語が下手でも、常に考え、聞かれたときにすぐに自分の意見が答えられることがグローバル人材として能力が高いと評価される』
③『個性とは自分が自然でいられること』『人から見て、人がどうだからと考えない方が結果的に個性的になる。答えはない』
③ 『セルフ・イノベーションのやり方の基本はその会社の決まりや前例を打ち破ること』
⑤『日本の企業がイノベーティブではなく、世界と比べてスウィートスポットが狭くなっている。組織を集団としてアクティブにするためには、会社ではなく、一人ひとりが、頭を柔らかく、前例にとらわれず、意識改革して自分を変えて行かなといけない。加えて、欧米コンプレックスをなくすべき』
⑥『NY発に喜んで飛びつくのは日本人だけ。価値観を変えることが大切』

 


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