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公開講座『現代の若者ー「貧困世代」の下流化を防ぐには』(報告)

公開講座『現代の若者ー「貧困世代」の下流化を防ぐには』
―関係性の貧困と受援力を考えながらー(報告)

 

これまで実施してきた市民(citizenship)教育の推進に関する研究を、若者に社会の現実を知り、問題意識をもってもらう機会をつくることで、実践活動に繋ごうと、『30年後、この国は大丈夫か?』を共通テーマに公開講座を開始しました。

 

第1回目は7月4日(月)18時から、公共政策研究所(公共経営研究部会)が主催、一般社団法人 途中塾の共催による公開講座です。(3号館304教室)

 

当日の参加者は約50名で、早稲田や慶応義塾の学生の他、社会福祉に関連する専門職も加わっていました。

 

 

●講師:藤田孝典(NPO法人 ほっとプラス代表理事)
著書『下流老人』『貧困世代』で著名な社会福祉士

 

●対論:吉間慎一郎(途中塾・慶応義塾大学法科大学院修了)
法曹を目指しながら再犯防止のため各地でフィールドワークに取組む。

 

●司会:熊崎陽一 (途中塾・早稲田大学理工学部卒業)

 

≪公開講座の内容≫

 

講演:『現代の若者―「貧困世代」の下流化を防ぐには』 藤田孝典
① NPO活動開始から現在まで
② 戦略的な情報発信
③ 日本の貧困率
④ 貧困の相談例
⑤ 貧困を原因とした犯罪
⑥ 絆創膏的処置でなく政策・制度の手術を
⑦ 若者を社会福祉の対象に
⑧ 社会保障予算
⑨ 子供の貧困と母子家庭
⑩ 大学進学問題
⑪ 住宅・年金・その他

 

対論:『関係性の貧困と受援力を考える』 吉間慎一郎 VS 藤田孝典
① 問題提起「ホームレス支援のボランティアを通して」
② 人間関係の充実が下流化を防ぐ
③ 関係性の貧困と受援力
④ ネットワークを作り社会に発信する
⑤ 税金を払えない人への意識改革
⑥ 若い人は貧困に鈍感で意識が低い

 

≪藤田講師の新しい視点≫

 

同氏の『下流老人』が20万部を超えて、2015年の流行語大賞にノミネートされ話題を呼ぶなど、高齢者の貧困が注目されるようになった。高度経済成長でバブルを経験している世代でも22%が貧困で、これが「下流老人」の実態という。

 

今回のテーマでは更に貧困率が高まるであろうと予測される若者世代をフォーカスした。所得の目安でいえば、1人世帯で122万円、2人世帯で170万円以下が公式な貧困ラインとされる。日本では該当者が16%だから、6~7人に1人が貧困であるが、本人も周囲も認識の低い傾向にあることが問題をより深刻にしているのかもしれない。

 

「若者を社会福祉の対象に」との主張はこれまでなかったのではないか。
言われてみれば、若者は働けばいい、助ける対象ではないと思われがちだが、労働環境や企業の福利厚生が低レベルになり、人間関係や地縁が薄いので一旦貧困化すると一生這い上がれないことの実情に警告を鳴らす必要があるし、構造上の改革が求められている。

 

≪吉間対論で「関係性の貧困」とは≫

 

この対論で吉間講師は「貧困は経済的困窮に限らない」と問題提起した。「再犯防止」をテーマに山谷などで支援活動をしてきたからこその捉え方だ。

 

マザーテレサの言葉にあるように「貧困の本質は自分自身が人から必要とされていないと思うこと」だと。

 

従って、下流化しないためには人間関係を充実させ「受援力」を身につけること、すなわち依存先や助けを求める先を増やすことと聞いて納得した。

 

人間関係のパイプがあれば「あそこへ行ってみたら?」とか、「一緒に行ってあげようか?」となるので助かりやすい。自分で「助けて!」と声を上げないと周りは気づかない。但し、周りが気づいて役所に助け舟を求め、役所がスタンバイしても、本人が受容しない限り、人権が絡んで助けられない経験をしている。「受援力」の大きな壁は本人の内側に存在するということだろうか。

 

昭和の時代―「三丁目の夕日」の社会には支え合いがセーフティネットとして自然と受援力が整っていたように思うのだが。(招聘研究員 羽田智惠子)