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調査rep6「サクラメント市のネイバーフッド・サミット」

発生年月:2009年3月~ (以降、年に一度開催)

 1.目的

 サクラメント市における近隣自治組織であるネイバーフッド・アソシエーションが地域の問題に対する様々な取り組みに関して経験と共有・意見交換し、住民が安全で安心して暮らせるより質の高いネイバーフッド・アソシエーションの発展をめざす。

 2.手法

(1)きっかけ

 カリフォルニア州の州都であるサクラメント市には、市内におよそ120の近隣自治組織であるネイバーフッド・アソシエーション(ネイバーフッド)が存在している。同市では、地区防犯活動や住民同士の親睦・交流活動など多様なネイバーフッド活動が盛んである。近年、さらに健全で持続可能な地域コミュニティづくりを求める市民の声に応えるため、2009年以降、市の公園・レクリエーション局に属する近隣サービス部門(旧近隣サービス局)が中心となり、市内全域のネイバーフッドの活動家や代表者が一堂に会し、住民主導のネイバーフッド活動の経験やアイデアを広く学ぶことができる機会を設けている。サミットでは、より健全な地域コミュニティを維持・活性化・促進するために市民、行政、民間企業のコミュニケーションとパートナーシップを強化することを目的としている。

 

(2)協力者の集め方

 サミットへの参加に関しては市の近隣サービス部門のホームページやニュースレター等を通じてサミット開催情報が告知される。また各ネイバーフッドのニュースレターや地元タウン情報誌などにも掲載されている。加えて、ネイバーフッドの代表者や市の近隣サービス部や警察職員、およびサミットのスポンサーとなっている各種団体が、各ネイバーフッドの定例会議の場に出席し、その場で市民らにサミットへの参加を直接呼びかけることもある。またサミットでのプレゼンターやサミットへの個人や団体からの寄付のお願いも市のホームページ等を通じて行われる。

 

(3)対外的な働きかけ

 基本的には上の(2)と同じである。サクラメント市のネイバーフッドや地域の活動に関心がある者であれば、誰もがサミットに参加が可能で、サミットの事前にオンライン、文書での参加登録が可能である。サミット終了後も、イベントの成果が市のホームページや年次報告書、ネイバーフッドのニュースレターやウェブサイト等を通じて活動紹介が行われる。またサミットの成果に関しては、各ネイバーフッドが定期的に開催している定例会議の場で、実際にサミットに参加したメンバーによって事後報告会などが行われ、サミット参加者によって自分たちが所属するネイバーフッドのメンバーと情報共有が図られることが多い。

 

(4)支援団体の組織化

 サミットの開催に当たっては、上の(2)(3)と同様の手法で呼び掛けられ、協力者が組織化されている。サミット開催前には市やネイバーフッドのホームページおよびサミット参加登録フォームを通じて、サミットへの財政的支援・寄付への呼びかけを行ったり、新聞・ラジオ・テレビ等へのメディアへの働きかけ、サミット会場でブース展示やその他雑用に協力する個人や団体のボランティアも募集している。サミットの運営は、サクラメント市の近隣サービス部を中心に、サクラメント市警察や消防署、住宅開発局など数多くの行政機関、カリフォルニア大学デービス校やシエラ健康財団(Sierra Health Foundation)、サクラメントツリー財団(Sacramento Tree Foundation)その他多くの非営利組織や慈善団体によって支援されている。

 

(5)市民の具体的行動

 サミット会場では各ネイバーフッドのリーダーたちが、自分たちの地域の取り組みや課

題についてプレゼンテーションを実施し、参加した市民の間で活発に意見交換を行った。報告内容は先進的な地区防犯活動(例:MENAにおけるGPSを活用した地域防犯マップ

作り)、市職員・警察職員との効果的なコミュニケーション手法(例:OPNAにおけるCops

& Coffee活動)、民間助成金獲得のノウハウ、地域の景観や歴史的な街並みの保全、アニマ

ルケア(犬の遠吠えや、人に危害を及ぼすような野良犬等の対策)、地域の中小企業誘致戦

略など多岐にわたっている。

サミットでは各ネイバーフッドの成功体験や失敗談をはじめ、様々な取り組みや課題が

参加した市民の間で共有され、時には参加者同士でのアドバイスを行う場面も見られた。

 

(6)資金集めの方法

①  サクラメント市のネイバーフッド活動は、行政の支援を受けず、ネイバーフッドメンバーの年会費や個人・団体からの寄付金、民間財団の助成金等で賄われていることが多い基本的には行政からの財政的支援を受けていないネイバーフッドが多い。

②  サミットへの参加は無料である。サミット開催に必要な財源はサクラメント市の予算だけではなく、(4)で紹介した各種財団や地元大学のプログラムによってサポートされている。またサミット会場ではサクラメント・フードバンクや教会などの支援を受けて、朝食と昼食が無料で提供されている。そのため参加する市民へのコストの負担はほとんど発生しない。

③  サミット開催にあたっての具体的な総費用は不明である。

 3.反対側の行動

 ネイバーフッド・サミット開催に対する反対運動は特に行われていない

 4.効果・成果

 ネイバーフッド・サミットは、地域の生活環境改善、地域住民と行政とのコミュニケーションやパートナーシップの構築、ネイバーフッド活動の対外的な情報発信、ネイバーフッド活動の効率的な運営をはじめ、地域コミュニティを健全に発展させていくための戦略に関して様々なトピックが扱われた。サミットは各地区のネイバーフッド活動を通じて、互いの成功体験や失敗談、教訓を共有し、学び合い、そして新しいネットワークを築く場として機能しており、地域の抱える問題の解決に向けて具体的なノウハウが共有・蓄積される住民参加型の一大イベントとなっている。

 5.特記事項(当事例に関連して分かる範囲で簡潔に)

(1)最終的な実施主体、中心組織

 市内各地のネイバーフッドの運営にあたっては各ネイバーフッドのリーダー達(委員会

メンバー)によって運営されている。またサミット開催にあたっては、市の近隣サービ

ス部門が主な主催者となっている。

 

(2)取組みの特徴

 サクラメント市内のネイバーフッド活動は、各地区の防犯活動、中小企業の誘致、再

開発、福祉・教育など課題ごとで、いくつかのネイバーフッドが集まって勉強会や話し

合いの場が設けられることはあるものの、サミットのように全市域レベルで各ネイバー

フッドの取り組みを通じて、地域コミュニティの改善に向けた情報共有・交換の場とし

て機能していること。

 

(3)その他特記事項

 サクラメント市にはヒスパニック系の住民も多い。そのため、ネイバーフッド・サミ

ットへの参加や協力の呼びかけ等に関して、一部のネイバーフッドの定例会議では多文

化共生を目指すという観点から、英語とスペイン語の両方で表記されたリーフレットも

配布されていた。