公共政策研究所 会合記録 ≪23-24年度公開講座≫ 第5回

テーマ:『10年後20年後の社会課題解決のアプローチ』

共 催:認定NPO法人 全世代
日 時:2024年7月28日(日)11:30~12:40 小野記念講堂にて開催
参加者:63名(うち運営参加20名)
※10代から80代の男女かつ、日本、香港、台湾、中国にそれぞれルーツを持つ方々など多様な顔ぶれが参加した。

1.企画要旨

社会起業やローカルスタートアップ等、社会や地域の課題をビジネスアプローチで解決しようとする試みが増えている。他方、ビジネスだけでは解決できない領域こそ公共政策及び立法の力が不可欠である。本企画は、『10年後20年後の社会課題解決のアプローチ』と題して、漠然とした「未来」ではなく、私たちが責任を持てる時間軸を想定し、社会課題解決の方法につき、プライベートセクターとパブリックセクターの関わり方やその在り方の将来像について検討を行うものである。本講座では、その前段階として現在地を確認するべく「公民連携」や「政策形成」等について2名の招聘研究員による報告を行った。公開講座終了後、多様なアクターとの協働を実践するコラボレーションセッションを実施した。

2.タイムテーブル

11:30 オープニング
11:35 開会挨拶 羽田智惠子(早稲田大学公共政策研究所 事務局長)
11:40 講座①「公民連携の現在地〜地域活性の事例から〜」 畠田千鶴(早稲田大学公共政策研究所 招聘研究員)
12:05 講座②「当事者ドリブンの政策形成と、多様な市民社会組織の可能性」 仁木崇嗣(早稲田大学公共政策研究所 招聘研究員)
12:40 公開講座終了
13:30〜16:30 (コラボレーションセッション) 第12回 全世代フォーラム

開会挨拶 羽田智惠子

公共政策研究所の活動内容
10回連続公開講座と本の紹介
現行のテーマと近時の公開講座
松明を結んでいただくことに期待

3.公開講座要旨

(1) 講座①「公民連携の現在地〜地域活性の事例から〜」
講師:畠田千鶴



約40年にわたる地域活性化支援事業に携わってきた立場から、公民連携の方法として、民間活力を活用した事業方式であるPPP/PFIの成功事例を複数紹介。また、2023年に改訂された内閣府「PPP/PFI推進アクションプラン」の中で「PPP/PFI手法の進化・多様化」として「ローカルPFI」が挙げられたことに言及し、財政負担軽減(VFM)に加え、自治体・民間の創意工夫による多様な効果に焦点を当てる。公共施設活用や公的サービスの効率化、資金調達などで「公民連携」は定着し、今後も導入は促進されるが、「ビジネス創出」と「公共の福祉」の良いバランスを維持することが重要であると考える。

(2) 講座②「当事者ドリブンの政策形成と、多様な市民社会組織の可能性」
講師:仁木崇嗣



約1年間のプロジェクトベースでの国会議員秘書経験者であるが故に、メタ的に政策形成過程を見聞した立場から、政治主導でも政府主導でもない当事者主導(当事者ドリブン)の政策形成の在り方について実際に関与した実例を用いながら紹介。当事者、専門家、政治家、政府それぞれの特性を活かし、相互に連携しながら政策実現を進めていくことの重要性を指摘。また、当事者の持つ「情熱」に注目し、市民社会セクターに当事者(元当事者)として独自のアプローチで社会に関わり、課題解決に取り組む人たちの存在に言及。実際に当人らによるプレゼンテーションを行い実例紹介。法人格の形態に関わらず、圧倒的に社会に対する意識が高く、実行力を持った「善人」の集まりを新しい「多様な市民社会組織」として、その可能性に期待する。

川合晴斗(NPO法人第3の家族 理事)



4.会場の様子


5.最後に

本企画開催にあたり、多大なお力添えをいただき、また当日会場にも足をお運びいただきました縣公一郎教授、藤井浩司教授をはじめ、企画段階から相談に乗っていただいた羽田智惠子事務局長にこの場を借りて御礼申し上げます。また、当日の来場者の皆様、そして、運営をボランティアでサポートいただいた関係各位の皆様にも心より感謝の念を捧げます。

(文責:仁木崇嗣)

運営協力:泉澤佐江子(早稲田大学公共政策研究所 招聘研究員)
THE MINKAI 2024実行委員会