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公開講座『アイディア発想とプレゼンテーション』(報告)

2016 年 11月 26 日(土)16:00時から、公共政策研究所(公共経営研究部会)の主催、
一般社団法人途中塾の共催で、第5回目の公開講座を開催しました。

 

講 師は工藤英資さん。当研究所の『若者の学びニーズ調査』で設計とまとめをお願いしています。
広告代理店の仕事がら、色々な企画をしてプレゼンをし続けた20年の実績により、
何十億の広告費を動かすためのアイディアとプレゼンテーションをやってきた知見をお話しいただきました。

 

講 師:工藤英資(東急エージェンシー・コミュニケーションデザイン局長)
会 場:早稲田大学3号館802 (参加者は約20名)

 

 

≪主な内容≫

 

1.若者の学びニーズ調査

 

早稲田大学公共政策研究所に協力して、600名の18~29歳の学生と社会人を対象に、学びの調査を行い、学校教育についての意見を聞いたところ、「知」「考」「伝」の3つのうち、「知」より「考」・「伝」の方が大切だと言う意見の方が多かった。
その中でも、答えが1つでないものを議論する学びや、授業で考えたアイディアが実際に実行されるような学びなど、実践的な学びが大切だという希望が多く出されている。
しかし実際には、学校の授業は先生から一方通行の学びであり、レポートを書くための勉強や、良いディスカッション、良い発表をするための授業はあまりない。考える、伝える授業があってもいいのではと思った。

 

2.学びとは

 

(1)学びの3手
「知る」学び:知識、知見、技術などを調べたり覚えたりする勉強型の学び
「考える」学び:得た知識をより良き方向へ使うアイディア、企画力など論理や発想などを鍛える思考訓練型の学び
「伝える」学び:考えたことを相手に伝わるようにするコミュニケーション型の学び

 

(2)「学び」にはレベルがある。
①漠然とした学び。意思があろうがなかろうが学ばなければいけない。義務教育。
②強制されている訳ではないが、何かをクリアーするために必要に感じての学び。例えば受験勉強。統一された正解があって、正解して基準をクリアーすることで合格する。
③社会に出ると、自分が正しいか否かは、その時々で違う。その時々の社会の状況や世の中の問題を解決するために、自分が学んで答えを出す、つまり答えを自分もしくは自分たちで決める学び。教科書には載っていない学び。色々な意見を話し合うことで答えを出すので、高いレベルの学びを目指すのであれば、「考えること」「伝えること」そのものを学ぶ必要がある。

 

3.アイディアとは

 

(1)定義
課題や問題を解決するための発想。何かしらの「お役立ち」があること、という定義にする。
①課題(なんとかしなければいけないこと)
➝②アイディア(何とかするための発想。多数のアイディアを出す)
➝③企画(できることとできないことを精査し、実現可能な計画をすること)
➝④定着(実施して課題解決すること。課題を解決しそうな多数のアイディアから最良のものが選ばれる)

 

(2)良いアイディアとは?
①正しいこと & ②強いこと
例えば就職活動で言うと、優秀なのが正しい学生で、強力な個性や強みを持っているのが強い学生。正しくて強いは、各分野の1位になる。自分がどの分野でトップになれるかを考えること。物を買うにしても、課題を解決してくれる商品の中で、個性、面白さ、心躍る何かわくわくする付帯価値があるものに優劣をつけて選ぶ。

 

 

(3)アイディアは自分の知のタンスの引き出しを充実させ、出したり入れたりしながら整理する作業
①課題に関する資料、情報
②世の中のことや時流
③自分の専門分野、趣味、個性になりそうなもの
④他者のアイディア
他者のアイディアを盗むのではなく、他者のアイディアから連想して自分用にアレンジし、新たなアイディアを生む。アイディアの出し入れが下手な人が多いが、運動神経みたいなものなので、やり続けることで鍛えられる。
また、最初から最高のアイディアを1つ考えようと思わず、沢山アイディアを出した中から選ぶ方が良い。

 

(4)アイディアの増やし方
いくつかの「マザーアイディア」から細胞分裂させて考える。
①何が課題かよく考える
②情報を整理する
③足りない情報を集める、調査する
④複数のアイディアを考える
⑤1つのアイディアを、見方を変えて考える
⑥1つのアイディアを複数に膨らませる
⑦次の1つのアイディアで⑤⑥を繰り返す

 

4.アイディア大会

 

 

紙を配り、多色のマジックを使ってポスターを書く。
(1)お題とルール
お題: 私が公開講座の講師をやるなら、どのような内容で開催するか。
自分の特徴や知識や経験を活かし、2時間の公開講座を行うなら、あなたならどんな魅力的な講座を行うか。(詳細は略)

 

5.プレゼンテーションとは

 

(1)プレゼンの主役は受け手である。
プレゼンの目的は、プレゼンを受けた相手の心を動かし、行動させること。
主役は話し手ではなく受け手であることだけは絶対に忘れてはいけない。

 

(2)プレゼンの上手い下手は、話の上手い下手ではない。
プレゼンは目的ではなく目的を達成するための手段。緊張して詰まっても、心がこもっていれば伝わる。
話を少しでも上手にしたいとしたら、コツは、「えー」とか、「あのー」とか、「まー」とかを抜くと良い。言いそうになったら黙る。黙ると反って耳を傾ける。間が開いてもよい。
映画の世界で一番大きな音は無音と言われている。「えー」は雑音。でも無音は一番大きな効果音。

 

(3)人に対するコミュニケーション能力はこれから増々大切になる。
インターネットで調べれば知識や機能を得られる世の中になってきた。大差がないのに選ぶのはなぜか。相手にこれを欲しいと思わせることがアピールできているか。
最終的にはパッケージデザインや広告やお店の商品ディスプレイも関わってくる。

 

(4)プレゼン後、聞き手の印象に残ることは、せいぜい2つ。
沢山のことを詰め込んでも、相手に伝わらない。相手の行動を起こすためのポイントに優先順位をつけて、そこから強調して話す。1つ2つくらいに絞り込んで伝える。

 

(5)日本人はプレゼンができるようになれば最強。
日本人は、勤勉で深くまで考え、情報整理や企画書作りは上手いが、プレゼンが下手。
プレゼンは目的ではなく、目的を達成するための手段。つまり、商品であれば買ってもらうこと、就活なら面接官に自分を採用したいと思わせるためのプレゼンをすることが大切。プレゼンの極意はそれだけ。

 

 

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≪後日談≫

 

この講座から1ケ月あとに、アメリカのハーバード大学グリークラブと早稲田大学グリークラブ(いずれも男声合唱団)の共演によるコンサートが東京で開催され聴いてきました。
コンサートもプレゼンテーションとして、どんなステージを演出できるかは興味深いもの。
歌う力としての上手さは早稲田大学の方が優れていると多くの評価を得たようですが、エンターティメントを意識したお茶目な舞台は、ハーバードに叶わず、子どもの頃から大学まで、「知」より「考」「伝」の学びを積み上げてきた若者が集う圧巻を感じました。
自分たちの歌に関心を寄せてもらうための手段をわきまえているということでしょう。

(招聘研究員 羽田智惠子)

 


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