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公開講座『生産年齢人口減少と「新しい働き方」』(報告)

10月8日(土)17時から公共政策研究所(公共経営研究部会)の主催、
一般社団法人途中塾の共催により第4回目の公開講座を開催しました。

 

講師に鈴木崇弘さんを迎え、働き方に関して新たに出された2つの提言と報告書について
①「新しい勤勉(KINBEN)宣言」
政策シンクタンクPHP総研「新しい働き方」研究会 (2015年9月)
②厚生労働省「働き方の未来2035-一人ひとりが輝くためにー」懇談会 (2016年7月)
の解説と問題提起をお願いし、意見交換をしながら進めていただきました。

 

講 師:鈴木崇弘(厚生労働省参与、城西国際大学大学院客員教授)
会 場:早稲田大学3号館 404教室

 

 

≪主な内容≫

 

1.PHP研究所による提言:『新しい勤勉』

 

安倍政権も働き方に着目している。なぜならばこの10年、20年日本は構造改革をしてきたが、今後働き方を変えていかなければ(少子高齢社会において)新しい仕事やシステムを創りだしていくのは難しい状況が生まれてきた。

 

2.全体の方向性

 

(1)社会の大きな変化
①人口・労働力の急減な変化
②少子化、老齢化による社会保障のあり方の変化
③経済・社会・産業構造の大きな変化
④グローバル経済、中国の台頭

 

(2)科学技術の大きな進展
IT、IoT、AI、3Dプリンター、ゲノム、ビックデータ等の大きな変化。
2045年にシンギュラリティー(人間の能力をAIが超えること)が起こる。
→人間の感情もAIによって表現されるようになる。
→映画『Exmachina』の話

 

(3)今までの機械と人間の関係性を変化させ、人間の存在は何なのかという問いに変わってくる。

 

(4)野村総研とオックスフォード大学のオズボーン教授の共同研究では現在日本にある仕事の49%がAIによって代替可能になるのではないかと予想された。

 

(5)夫婦関係・異性関係も変わってくる
①配偶者が亡くなったらロボットが面倒を見る時代になる。
②ビッグデータを通して、好み、タイミング、表情などを駆使したAIロボットが生まれれば、人間よりもロボットを好む時代になる可能性がある。
③技術が進めば人間は死ななくなる可能性がある。

 

(6)国という単位、仕組みが変化していく
①企業からすれば日本にいなくても、世界に出て仕事をすれば良い状態
②モビリティーが発展して、10万円あればニューヨークに行ける
③世界中でSkypeなどを使えば無料でFace to Faceの会話ができる。

 

3.「新しい勤勉宣言」—幸せと活力ある未来をつくる働き方とは

 

【提言骨子】 「新しい勤勉(KINBEN)」とは
労働時間の長さを尺度とし、自分を犠牲にして仕事に励むというイメージが強い従来型の「勤勉」から、「時間当たりの生産性の高さ」を尺度とする「新しい勤勉(KINBEN)」という価値観への脱却をはかる。

 

4.「新しい勤勉(KINBEN)」の価値観に基づく「新しい働き方」を実現するための具体的な政策・施策。

 

(1)少子高齢化、科学技術の進歩によって、新しい価値観に基づいてマインドセットしていかなければならない。

 

(2)これまでは労働時間を尺度として、自己犠牲をして働くという価値観が日本にあった。しかしこれからは時間当たりの生産性を尺度とする考え方に変えていく必要がある。

 

(3)1人1人のキャリアの上で多様性と柔軟性を重視していく。

 

①障害者と健常者を区別して考えているが、ある種のハンディを持っていても柔軟に働ける環境を整える。また育児や介護があっても収入を得なければならないのだから、働きながらも両立できる環境をつくる。
③生きていることの充実感を得ながら働けることをめざす。
④職場にハンディを持っている人がいたとしても、その人を上手く活かして成果を出していかなければならなくなってきており(今後ますますその方向に向かう)、より高度なマネジメント能力が求められるようになる。したがって、年功序列ではなく能力によって地位や仕事の内容などを決めていくようにする。

 

(4)働き方に多様な条件が生まれてくるということは、自分のおかれている状況や立場をきちんと他人が理解し納得できるように(上司・部下・同僚に対して)説明しなければならなくなるということでもある。その意味からも自分をコントロールできるセルフマネジメントが必要となってくる。

 

5.新しい勤勉7つの提言

 

(1)雇用契約の締結を義務付ける
(2)個人の総労働時間に規制をかける
(3)学校教育で「働き方」のリテラシーを高める
(4)多様な働き方を可能にする「3We」(whoever、whenever、wherever)の雇用環境をつくる
(5)企業は自社の働き方に関する方針や情報を開示する
(6)官民で「新しい働き方」を支えるマネジメントとシステムを確立する。
(7)「新しい働き方」を促進する「新しい場」を創出する
(社会的企業の経営を支援する仕組み、副業(兼業)を可能、負の資産(空き家など)の有効活用)

 

 

6.厚生労働省『働き方の未来2035 一人ひとりが輝くために』懇談会

 

≪開催趣旨≫
グローバル化や少子高齢化の急速な進行、IoTやAI等の技術革新の進展により、産業構造・就業構造や経済社会システムの大きな変化が予想される中で、個人の価値観の多様化が進んでいる。こうした中、女性も男性も、お年寄りも若者も、一度失敗を経験した方も、障害や難病のある方も、すべての方が能力を最大限に発揮し誰もが活躍できる社会を実現し、個人の豊かさや幸せを向上させる必要がある。同時に、生産性・企業価値の向上を通じた持続的で豊かな経済成長を可能とすることが求められている。

 

7.現在の世界と今後の変化

 

(1)人や資本の移動がある社会では企業が国を選ぶ時代になった。
(2)流動性のある社会においては常に変化に対応していかなければならない。
(3)社会の変化に合わせてマインドを変えていかなければならない。

 

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≪質疑応答を通じて≫

 

この講座の中で最も関心を集めたことはAI(人工知能)の発達であり、30年後には人間の能力を超えそうな予測と対応についてでした。

 

①弁護士や医者でさえAIに置き換わると言われている。今後は法整備や政策づくりですらAIにやらせた方が早い可能性もある。現実に、政府で、AIを活用して法案をある程度作成する仕組みがつくられつつある。
②これからの人たちは絶えず学び続けなければ生きてはいけないし、そういうスタンスで臨んでいくべきだ。
③人が使うものとして機械が作られていた。それがこれからは機械が自立していき、人間生活にこれまで以上に入り込んでくる。
④産業革命の頃にはラッタイト運動(機械が雇用を奪うから機械を壊す運動)があった。現在もネオラッタイト運動が起こりつつあるが、今度は人間の方が負ける可能性すら出てくる。
⑤AIが地球上で人間が必要ないと判断した場合は人間を滅ぼす方向に進むかもしれない・・など。

 

確かにたゆまぬ自己研鑽のために学び続け、変化に対応できる能力を持たな
いと自滅するかもしれない。その点で今の20代30代にとって、今まではプラス効果が目立った『科学技術の進展』が大きな課題となって迫りくることを実感しました。

 


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