• トップページ
  • ご挨拶
  • 研究所紹介
    • 公共経営研究部会
    • 公共政策分析部会
  • アクセス・お問い合せ

公開講座『若者が見たいニュースを多事争論』(報告)

公開講座『若者が見たいニュースを多事争論』
-報道の在り方から番組企画までー (報告)

 

7月12日(火)18時から、公共政策研究所(公共経営研究部会)の主催、
一般社団法人 途中塾の共催による公開講座2回目を3号館601教室で開催しました。講師はTBS「サンデーモーニング」プロデュ―サーの金富隆さん。2001年から「筑紫哲也NEWS23」のディレクターを7年、「NEWS23クロス」のデスクなどを経た体験から、ニュース番組について現場を語っていただき、続いて、学生や若者が番組企画を試みるという内容の貴重な講座になりました。
当日の参加者は約50名で、早稲田や慶応義塾などの学生の他、新聞や出版社の関係者も参加していました。

 

講師:金富 隆(TBS「サンデーモーニング」プロデュ―サー)
司会:工藤英資(東急エージェンシー・コミュニケーションデザイン局長)
進行:加藤洋見(途中塾・早稲田大学政治経済学部2年)

 

≪公開講座の内容≫

●講演:金富 隆
(1) ニュースキャスターの変遷
① ニュース番組の形態
② 映像―1974年 NHK 「ニュースセンター9時」第1回放送
日本のニュースキャスターの草分けとして磯村尚徳。キャスターのトークは台本中心。
③ 映像―1985年テレビ朝日「ニュースステーション」第1回放送
久米宏が即興アドリブ型でニュース番組の在り方を革命的に変えた。
④ 映像―1989年テレビ朝日「ニュースステーション」の久米企画
消費税導入前夜に大蔵省主税局の担当課長と中継で直球的質問
⑤ 映像―1989年TBS「筑紫哲也NEWS23」第1回放送
テレビ番組が批評性を持ち、自由の気風を保つため「多事争論」した。
⑥ 映像―2008年TBS「筑紫哲也NEWS23」最後の「多事争論」

 

(2) テレビ番組の現実
① 視聴率について
視聴率が悪いとキャスター交代などが起きる。テレビの制作者側は数字がとれるものをやりたいと、各局が同じようなニュースを取り上げる。
② 「生存視聴率」という考え方
映像―筑紫哲也特集(小泉首相と市民との直接対話)
「NEWS23」の長寿の秘訣とは、自分たちのやりたいことをやりながら、番組として生き延びるための最低限の視聴率を「生存視聴率」としたことにある。伝えるべきを伝える「質」を大事にしながら番組をいかに生存させるかということである。

 

●番組企画:『若者が見たい架空のニュース番組を企画する』 工藤・加藤

(1) 各チームに分かれてディスカッション
「知りたいニュース 知るべきニュース」を報道するためにどうするか。

≪番組企画の条件―架空のニュース番組―≫
① 放送の時間帯は平日23時から
② 特に若年層(学生以上)を対象とした報道番組
③ 出演者(ニュースキャスター・コメンテーターなど)の選択は自由

(2)発表

(3)講評の中で
ディスカッション中、23時くらいのニュースを見ているかと若者に質問したら、見ている人が誰もいなかった。テレビは(60代以上の)シニア世代のものになりつつある。金曜の「報道ステーション」の視聴率は11.5%だが、13~59歳が4%、7%は60代以上。19時のNHKニュースの視聴率が13%で、59歳以下は3%、残り10%は60代以上。若者は動画を見ていてもスマートフォンで見ている。これから先を真剣に考える必要がある。

 

≪質疑応答を通じて≫

学生中心に講師に鋭い質問が多数出された。「制作への圧力はあるか?」
「(アメリカと較べると専門特化されない)日本のオールマイティな総合編成
は変えられるか?」「視聴率は信用できるのか?」「サンデーモーニングが高視
聴率の理由は?」「活字の週刊文春が権力の監視役をしている現象をどう思う
か?」 「1つの番組の中で政治的公平性を強制しているのは日本くらいだが、
異質ではないか?」など。

 

8月19日の朝日新聞・文化文芸欄で、司会者の久米宏さんがこんな話をし
ている。『今のテレビ、特にニュース番組を見ていると、局が失言を怖がって
いるのか、出演者はガチガチの台本を読まされている。自分が選んだ言葉をし
ゃべっていない。安全運転が過ぎますよ。テレビは世の中全体の鏡。皆がおも
んばかっちゃって、今の時代を象徴している感じがする。僕もそうですが(中
略)どこかで波風を立てたいという思いがあったように思います。それがテレ
ビだ、と』

 

1985年からニュース番組の在り方を革命的に変えたニュースキャスターの
重い批評と感じる。とはいえ、ニュースの現場にいるプロたちは、きっと自由
の気風をもって、自分たちの言葉で番組を作りたいと日々苦悩しながら仕事を
しているのではないか。

日本も成熟した先進国の一つであろうから、市民の側でも、権力の監視役が
その使命を果たせるように、社会の空気を生み出す一員として、報道を支える
姿勢もまた求められているように思う。(招聘研究員 羽田智惠子)