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シンポジウム『風景とローカル・ガバナンスを問う』(報告)

シンポジウム『風景とローカル・ガバナンスを問う』
―いま、風景の「劣化」を食い止める主体は誰なのか・・・。(報告)

 

早稲田大学11号館501教室にて

 

公共政策研究所(公共経営研究部会)が主催し、土木学会景観・デザイン委員会の共催によるシンポジウムを11月23日(土)の13時から18時半まで開催しました。

 

当日の参加者150名。国土交通省、地方自治体、大学や民間の研究機関、NPO・社団法人などの公益団体、シンクタンク、建築設計事務所、街づくりチームから現役の大学生・大学院生など、全国に及ぶ幅広い分野からの参加があり大盛況でした。

 

≪シンポジウム内容≫

●基調講演
「市民社会とコモンズの可能性」    中村良夫・東京工大名誉教授

●パネリスト報告
「コミュニティが支配権をもつ景観」  鳥越晧之・早稲田大学教授
「自治とローカル・ガバナンス:景観形成を左右する二つの条件」
羽貝正美・東京経済大学教授
「視対象の操作というアプローチの到達点と課題」
佐々木葉・早稲田大学教授
「自治の主体の成立条件と風景」    西 研 ・東京医科大学教授
「学際的風景研究へのパースペクティブ」山田圭二郎・京都大学准教授

●パネル・ディスカッション
ファシリテーター 藤倉英世 早稲田大学公共政策研究所招聘研究員

開会挨拶 縣公一郎  早稲田大学政治経済学術院教授
閉会挨拶 塚本壽雄        同
総合司会 羽田智恵子 早稲田大学公共政策研究所招聘研究員

 

 

≪風景の劣化は人間の劣化≫

基調講演をお願いした中村良夫・東京工大名誉教授は、東大、東工大、京大で、景観工学の研究と教育に携わってきた日本では超一級の学者です。
学者の話はいつも難しそうな印象をもちますが、たくさんの写真や図表を使いながら豊富な事例で実に分かりやすく面白く、会場を惹きつけておりました。

 

もうお一人、鳥越晧之・早大教授(日本社会学会会長)の話と結び付けると「風景の劣化は人間の劣化」という本質論が浮かび上がってきます。

 

「生きることは生かすこと。風景は人間の洋服と同じ」という考え方に立てば納得のできる話でした。
元々、人間は風土的な存在で、人間が山を見ているのではなく、山が人間を見つめている・・・ということは、「自分自身が受け身で見られているのも風景」となるようです。

だから、「人が楽しんでいる様子が目の前に存在することも風景」であるという前提に立てば、子どもが広場や公園で遊ぶ姿が消えていることは、将来を見据えるとトンデモナイ事態のようです。(彼らの子どもはどこにいくのか?)

 

羽貝正美・東京経済大教授は、人間が経済的に豊かになりすぎた結果、face to face の関係が無くなり、子どもが外で遊ばなくなった。ゴミの収集も集団から戸別になり、地域や住民のエゴに行政が譲ったことになります・・と。

 

だから、「住民が行政を育てる、成長させる。地域に行政が参加する」方向に発想を転換し、当時者意識をもった人を一人でも増やすことが重要になるということでしょう。風景学は、人間が生きる原点に触る大きなジャンルであることを認識させられました。

 

≪今回の成果として≫

景観と風景の劣化について、テーマ自体が日常的でありながら新しいが、それを風景学、環境社会学、都市行政学、景観工学、社会哲学などの視点から議論できたことは、得難い価値の共有となり、一石を投じた他、多くのプラス評価を受けました。

 

今回、専門家や会場とのやりとりで得られたコンテンツを貴重な資料とし、また参加者のネットワークも活用しながら、次回のシンポジウムや出版の他、各地で風景に関する現場の対応が進むように、普及と研究活動を広げていきたいと考えています。       (事務局長 羽田智恵子)