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【地域主権研究センター】研究所報告(2012年度の活動報告と今年の課題)

2012年の活動報告と13年に向けて

招聘研究員 羽田智恵子

 

昨年は、当研究所のホームページで公表している「アメリカにおける市民参加の手法に関する調査」の中間レポートを書いて半年を終えました。その後の関連活動や今年の課題を含めて、以下簡単にとりまとめてみますと・・・。

 

1.アメリカにおける市民参加は日本とどこが違うのか―

 

①政治家へのアクセスが身近で容易
②働きかけのチャンネルが豊富
③住民による自治意識の存在
④地域の財団や教会・大学によるサポート
⑤土台に学校での市民教育

 

・・・の5点が主な特徴ですが、特に、幼稚園や小学校から始まるシチズンシップ教育が有るか無いかの影響は、民主主義の装置や国民の自治意識の根源を左右させているように思え、国の繁栄と安全保障に繋がる意味で、アメリカと比較すると、日本の近未来への不安を感じざるを得ませんでした。

 

2.江戸幕末の英才教育と現代
(1)萩の松下村塾で
思うところあって11月の萩に吉田松陰(1830 ~1859)の足跡を訪ねてきました。
吉田松陰が塾で講義をしたのはわずか1年余りなのに、当時は寄宿や通学を含めて36名
の塾生がおり、その中から高杉晋作、伊藤博文、山形有朋、品川弥二郎など明治維新の立役者が生まれ、木戸孝允(桂小五郎)も門下生とされています。
塾生の半分以上が10代だった点では、欧米流に、幼少の頃からの市民教育と重なるものがあり、松陰は「忠とは単なる志や目的ではない。それを具体的な成果として表さなければ意味がない」として塾生や門人に行動を求めたことは、⑤を通じて、アメリカ的な市民参加①②③④のインフラを作り出そうとしていたように映りますね。

 

(2)日本の若者たち、ある動向
個人的な話ですが、昨年秋から自宅を開放して私塾を試験的に始めています。
当塾のリーダーでもある原田謙介さんが(総務省などの主催で)コーディネーターとなり、暮の12月1日に「若者フォーラム2012」を開きました。テーマは「若者と政治の関係を考える」で、海外を含めて様々な団体を牽引する学生や大学院生の20代がパネリストとして議論を展開。
その話の行方ですが、若い世代の政治的意識の希薄が投票率の低迷に繋がり、更に
政治家が得票を軽んじる結果、若者への政策が不十分になる背景には何があるのか。

 

①日本で自分たちが受けてきた教育の延長に政治の接点がない。
②日本人の多くは政治に希望を持てないと感じているが、欧米の若者は自分がこの国を変えてやるとの意識が高い。
③日本は自己主張よりも全体の調和を重んじるので意見を持てず発言もできない。
④アメリカでは子どもの頃から市民教育を徹底し、イギリスでは中高生から模擬議会を開くなど、国の繁栄のために民主主義の原点を学んでいる。
⑤欧米は政治を含めて若者を惹きつける戦略やプロモーションがうまい。

 

最終的には欧米で実践されているような市民教育が無いことを遡れば、そもそも親や教師にも政治的認識がないことに行きついたように思いますし、具体的な内容も「アメリカにおける市民参加の手法に関する調査」の結論や、あるべき方向性とほぼ一致しており、日本の教育において根本的に不足している部分の示唆を受けた思いがしました。


(日本経済新聞1月1日付)

 

3.今年の課題
ある予測によりますと、日本における政治経済教育を含めた装置の劣化を再生するのに30年かかるとされ、この重い荷物を現実に背負うのは2・30代でしょうから、
自分たち熟年世代が単に「頑張ってね!」と言っているだけではすませられない。
高校生の頃から学生運動に関わった経験がある歌手の加藤登紀子さんの言葉に、
「私たちの世代は過去の重さの分だけ未来を担う責任があり、若者たちには未来の長さの分だけ過去を知る必要がある」・・がありますが、その通りだろうと感じています。
そこで、今年は早稲田大学内外の学生を主な対象に、学校教育で賄えきれない自治や社会人意識の向上など、市民教育の一環を担えるような実務型の講座を開催したいと考えています。

 

(1)若者と過去を学ぶために(公開講座)

 

①幕末に生きて明治維新の立役者となった吉田松陰や坂本龍馬は20代にして何を考え、どんな手法で命懸けの行動をとったのか。(童門冬二さんなど歴史作家を招く)
②戦争をはさんだ昭和とはどんな時代だったのか。それ以降、何が失われてきたのか。
(山田洋次さんなど映画監督を予定)
③戦後の政治と行政を鳥の目で見ると、近未来に待ち受けるものとは何か。
(長年の国の要人級に依頼)

 

(2)未来を担う子ども世代に向けて(出前講座)

 

①社会に役立つアイディアの市長(区長)提案
②模擬選挙、模擬議会
③職業人による実践的授業

 

なども検討し、これら分野での関心や経験をもつ若い世代を育成できればと思います。