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調査rep9「マイノリティーに対するホスピスケアサービスへのアクセスの充実」

発生年月:1979-(ホスピス・オースティンの設立)

 

1. 目的

 マイノリティーにとってホスピスケアサービスを利用しやすいものとする

2. 手法

(1)きっかけ

 ホスピス・オースティン(Hospice Austin)は1979年に草の根のコミュニティー・プログラムによって設立された非営利の医療施設で、末期症状患者、その家族と介護人に対してサービスを提供している。テキサス州の州都オースティンに立地している。1990年代初頭における施設の大きな課題の一つは、地域のマイノリティー民族(ヒスパニック、アフリカ系アメリカ人等)のホスピス利用率が低いことであり、ホスピス利用を促すマイノリティー新聞への広告等を利用したアウトリーチ活動は十分な成果を生んでいなかった。アメリカ連邦医療財政庁(HCFA:Health Care Financing Administration)による地域のタウン・ミーティングで提出された意見を契機として、ホスピス・オースティンはマイノリティーのホスピス利用を促進するための委員会を設置し、対策を検討し始めた。

 

(2)手法の内容

 具体的には、地域の財団等から協力を得たマイノリティー学生のための奨学金の設立と地域の聖職者との連携によって、マイノリティーのホスピス利用を促すことに成功した。

ホスピス・オースティンはマイノリティーの学生に準学士号等を取得するための奨学金を受給する代わりに、学生は在学中にホスピス施設でパートタイムとして、学業終了後には2年間、ホスピス施設でフルタイム勤務を行う。奨学金によって学生がマイノリティーとホスピス施設の繋ぎ役となり、ホスピスを身近なものとすることができる。

地域の聖職者達と協力を得て、ホスピス施設のスタッフは毎週末の教会での礼拝にホスピス利用についてマイノリティーを含む教会の信者と3年間に渡り、ホスピス利用の重要性と意義等について意見交換を行った。この結果、ホスピス施設でのマイノリティーによるボランティアはゼロからボランティア全体数の26%を占めるまでに増加した。

 

(3)協力者の集め方

 主な協力者は1.地域の財団等、2.地域の聖職者である。地域の財団等に対しては、奨学金制度のプログラム概要を作成し、資金協力を求めた。地域の教会等の聖職者に対しては、直接働きかけを行った。

 

(4)対外的な働きかけ

 マスメディア等への対外的な働きかけは確認できない。

 

(5)支援団体の組織化

 組織化の動きは特に見られない。

 

(6)市民の具体的行動

 地域のマイノリティー市民は教会聖職者による仲介のもと、ホスピス施設のスタッフとホスピス利用の意義について数年間に渡り議論を重ねた。その結果、マイノリティー住民はホスピスケアの必要性と意義を理解し、積極的にボランティアとしてその運営に携わるようになった。奨学金を受給している学生は在学中、卒業後、ホスピス施設で勤務を行う。具体的に、奨学生は在学中ホスピスでパート・タイムとして勤務する(年間600時間、給与支給)。卒業後はフルタイムスタッフとして2年間、ホスピスで働く。このようにマイノリティ住民がホスピスで勤務することによって、住民が施設を利用しやすい環境が整備される。

 

(7)資金集めの方法

 奨学金の創設にあたっては地域の財団等から資金協力を受けた。

 

*上記の奨学金の資金を得るための手段に関する情報は確認できないが、オースティンにはAustin Community Foundationを始めとした地域の財団がいくつも存在する。Austin Community Foundation(コミュニティ財団とは、地域の非営利組織に対して寄付を集め、配分するための中間支援組織である。日本にも大阪コミュニティ財団等がみられる。

http://www.osaka-community.or.jp/

Austin Community FoundationではHospice Austinのための寄付基金が設けられており、こうした寄付のための窓口の存在が、資金収集の安定した手段の一つになっていると思われる。

 3. 反対側の行動

 反対側の情報は特に確認できない。

 4. 効果・成果

 l マイノリティーのホスピス施設利用の増加(具体的な利用率等については不明)

l 地域マイノリティーに合わせた施設運営が可能となった(マイノリティーのよって異なる家族観等に合わせた施設運営、スタッフサービス等)

l 市民によるコミュニティ再生事例の一つとして紹介されている[1]

l ホスピス施設でのマイノリティーによるボランティアはゼロからボランティア全体数の26%を占めるまでに増加。

 5. 特記事項

(ア)    最終的な実施主体、中心組織

ホスピス・オースティン

 

(イ)    取組みの特徴

マイノリティのための奨学金設立、地域の聖職者による仲介によるマイノリティ住民ボランティアに対する啓発の取組を通じて、実際にマイノリティ住民がホスピス施設について認知するのみならず、具体的に運営に関わる仕組みをつくることで、ホスピス施設を身近なものとすることに成功した。

 

(ウ)    その他特記事項

マイノリティに対するホスピスケアサービス利用を拡大した成功事例として紹介されている[2]

 

(参考資料)

l  ホスピス・オースティン ホームページ

http://www.hospiceaustin.org/site/pp.asp?c=bdJPITMyA&b=5613561

l  Civic Practice Network ホームページ

http://www.cpn.org/topics/health/hospice.html

 

[1] Civic Practice Network ホームページ

http://www.cpn.org/topics/health/hospice.html

[2] 同上