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調査rep7「K-12教育システムにおける教育改革」

発生年月:2003年〜2011年

1.目的

 オレゴン州におけるK-12教育システム※における教育改革の促進

※日本の義務教育に該当

2.手法

(1)きっかけ

 オレゴン州における5つの財団(コリンズ財団、フォード・ファミリー財団、JELD-WEN財団、メイヤー記念財団、オレゴン共同体財団)は、オレゴン州において様々なコミュニティ支援プロジェクトを各々行っており、その中でもK−12教育システム(日本で言う「義務教育」)についての改革を優先的に進めていた。しかしながら個々の努力のみでは大きな財団といえども結果がなかなかついてこないことから、各財団が「個々の財団で教育改革のシステムを行うプロジェクトを進めるよりも共同で取り組んだ方がより効果的になるのではないか」と考え、5つの財団が協力して教育システムの改革を行う作業に取り組むことに合意し、2003年に「ベターオレゴン財団」(FBO: Foundations for a Better Oregon)を設立するに至った。

 

(2)協力者の集め方

 FBOはK-12教育システム改革一本に焦点を当て共同設立された財団であるが、まず5つの主導的な財団が共同運営を行うということから、権限を同等に配分する必要があった。そのため、理事会は当初10人で組織され、各財団から2名ずつ参加することとなった。さらに、2008年1月には、ジェームス&マーティン・ミラー財団が参入することになったが、同財団から2名を理事会に加え、12人に拡大させ権限の同等配分を行うこととなった。

 

(3)対外的な働きかけ

 FBO財団の基盤作りが確立されると、2004年3月には財団の核となるプロジェクト、「チョークボード・プロジェクト」(Chalkboard Project)を立ち上げることになる。このプロジェクトは、オレゴン州市民を結束させ、州のK-12教育システムを全米一にさせることを目標とし、オレゴン州全体でより良い学校作りをめざすものである。2004年からの2年間において、教育における「ベスト・プラックティス」の研究、オレゴン市民の世論調査、ワークグループ等を結成させ、リサーチデータに基づいたより良い学校作りの基盤を確立させた。リサーチはその後も継続して行い、結果をウェブサイト、ブログ、新聞、その他のローカルメディア等を通して伝達することにより、その存在を広くオレゴン市民に知らせている。また、パイロット的に、これらのリサーチに基づいた「クラス・プロジェクト」を作り、教育者や生徒の学力を向上させるプロジェクトも行っており、積極的に市民を組み込んでいる。さらに、「教育者グループ」「市民グループ」といったグループを作り、教育者や市民からの協力を得るためのプラットフォームも確立させた。これは、市民自らが直接プロジェクト形成に関わることのできる機能を持っているが、資金集めの活動は特に進めていない。これらのプラットフォームを組織し、オレゴン州全体の世論をプロジェクトに組み入れる ことにより、世論の支持を得ていった。

 

(4)市民の具体的行動

 「教育者グループ」「市民グループ」に所属している市民は、各々の活動のレベルを自らが決められる。例えば、「教育者グループ」に関しては、オレゴン州の教育を向上させるアイデアの提供、教育問題に関する電子メールのアンケートへの回答、新聞等のコラムへの投稿、地方イベントへの参加と講演、議員へ電話、ファックス、手紙等を通した意見書の提出、等が活動として挙げられる。また、「市民グループ」も同様に、チョークボード・プロジェクトに関する情報を、口コミ、地方講演等の提供、チョークボード・プロジェクトが持つラジオや宣伝広告への参加、新聞等のコラムへの投稿、議員へ電話、ファックス、手紙等を通した意見書の提出が、活動として挙げられる。つまり、「教育者グループ」は、プロジェクトの内容についての意見を述べるのに対し、「市民グループ」はプロジェクトのアウトリーチを主な行動として進めている。また、議員への意見書に関しては、団体としての優先順位がウェブサイトに常に示されており、一つの指標として成り立っている。なお、2012年3月時点で、「市民ブループ」に登録している市民は600人弱に登る。

 

(5)資金集めの方法

 個人献金や他団体からの資金援助を受けているが、大部分はFBOを形成する6つの財団、つまり、コリンズ財団、フォード・ファミリー財団、JELD-WEN財団、メイヤー記念財団、オレゴン共同体財団、ジェームス&マーティン・ミラー財団が支援している。

3.反対側の行動

教育といった市民にとって関心の高いトピックを用いて、基本としてプロジェクトの批評を含め多くの意見を取り入れるという財団の姿勢から、目立った反対派の行動というものはない。

4.効果・成果

具体的な効果としては、2007年—2009年にかけて多くの結果を残すことになった。例えば、2007年にはオレゴン州が「教師指導条例」(teacher mentoring bill)を採択、2009年にはオレゴン州知事予算への組み込み、公立学校への予算の向上(企業寄付に対する税優遇)、2008年には教育者への専門能力開発評価基準の制定、さらには教育者専門能力開発に対する財政支援を行う条例ができる等、州政府の政策に影響を与えることとなった。

5.特記事項

(ア)最終的な実施主体、中心組織

民間非営利団体である「Foundations for a Better Oregon (FBO)」

(イ)取組みの特徴

市民の教育向上のために民間非営利組織が大規模プロジェクトを確立し、市民を積極的に参加させ、州の教育向上に向けた条例を決定させた例。

(参考資料)

l FBOホームページ

http://www.ffbo.org/

l Chalkboard Projectホームページ

http://chalkboardproject.org/